太陽系は約46億年前、銀河系(天の川銀河)の中心から約26,000光年離れた、オリオン腕の中に位置。
- リンクを取得
- ×
- メール
- 他のアプリ
山口市長 渡辺 純忠
第 2 6 回 中 原 中 也 賞 の 発 表
受賞詩集 水際
みずぎわ
著者名 小島
こじま
日和
ひより
出版社 七月堂 刊行年月日 2020年7月1日
著者の住所
東京都
出身地
福岡県福岡市
年齢 23歳 生年月日 平成9(1997)年12月19日
性別 女 職 業 会社員 最終学歴 早稲田大学文化構想学部卒
《コメント》
このたびは、第26回中原中也賞にお選びいただき、ありがとうございます。
まず、選考委員の方々に読んでいただけたことが、うれしいです。
この『水際』は、おととしの春に詩を書きはじめてから、およそ1年間に書いたものをまとめた詩集
です。
ですから、これから先、ずっと長い時間のなかで、なにを、どう書いていくのか、わたしにもわかり
ません。ただ、少しでもいいものを探していくために、少しでも長く書きつづけられたら、と思います。
最後に、詩を書きはじめるきっかけをくださった方、いつも、詩を書いているわたしのことを見てい
てくださる皆様に心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
《選考経過》
公募、推薦の詩集268点について本年1月に開催された推薦会の検討の結果、青木
あおき
由
ゆ
弥子
み こ
『しのば
ず』、石
いし
松佳
まつけい
『針葉
しんよう
樹林
じゅりん
』、江夏名
え な つ な
枝
え
『あわいつみ』、大島
おおしま
静流
しずる
『飛石
とびいし
の上
うえ
』、尾
お
久
ぎゅう
守
かみ
侑
ゆ
『悪意
あくい
Q
キュー
4 7
フォーティーセブン
』、
小島
こじま
日和
ひより
『水際
みずぎわ
』、萩野
はぎの
なつみ『トレモロ』の7冊が選ばれ、本日の選考会の対象とされた。
コロナ禍のなかでも、オンラインではなく、顔を合わせて議論したい、ということで、選考会は近年
になく盛り上がった。
候補作7冊のなかで、最終的に大島静流『飛石の上』、小島日和『水際』の2冊をめぐって、長い討
議が行われた。ともに同年齢、インカレポエトリ叢書シリーズの2冊である。どちらも大きな可能性を
秘めた詩集だが、まったく言葉の出し方が違っている。
大島静流『飛石の上』は、候補作のなかで唯一、言葉を対象にしており、対象との的確な距離感が心
地よい。テンポもよく、アフォリズム的な決断力も優れている。ただし、そのバランスの良さが、ここか
ら先、どこへ抜け出るか。
小島日和『水際』は、のびやかでなめらかな言葉を駆使して、日常の現実の時間を手さぐりで描く。母親、
父親、故郷など、作者が捨ててきた分厚い過去の歴史を再現しようとする試み。詩句が成立する背景の物語
が大きく、ここにはやわらかな作者の声が明確にある。未知数だが、発展段階の個性が十分発揮されている
ことから、全員一致で、第26回中原中也賞受賞作品に決定した。
選考委員:荒川
あらかわ
洋治
ようじ
、井坂
いさか
洋子
ようこ
、佐々木
ささき
幹郎
みきろう
、高橋
たかはし
源一郎
げんいちろう
、蜂飼
はちかい
耳
みみ
(50音順・敬称略)
報道資料②
《山口市長コメント》
第26回中原中也賞が、小島日和さんの詩集『水際』に決定しましたことを、心から御祝い申し上げます。
この度受賞されました小島日和さんが、今回の受賞を契機に尚一層、活躍の場を広げられ、さらなる飛躍
をされますようを心から御期待申しあげます。今後とも多くの方々が、中原中也賞をひとつの目標として創
作活動に励んでいただければ幸いです。
令和3年2月13日 山口市長 渡 辺 純 忠
※受賞者の年齢は、R3.2.13 現在ページの先頭です。メニューを飛ばして本文へ
第26回中原中也賞が小島日和さんの『水際』に決定しました
概要
第26回「中原中也賞」では、令和元年12月1日から令和2年11月30日までに刊行された現代詩の詩集268点が寄せられました。
令和3年2月13日、最終選考作品として選ばれた7作品を対象に、東京都のホテルルポール麹町で選考会を開催しました。
選考の結果、第26回中原中也賞は、小島日和さんの『水際』(七月堂)に決定しました。
受賞者には、正賞として中也と親交のあった彫刻家高田博厚(1900-1987)制作の中原中也ブロンズ像と、副賞として100万円を贈呈します。第26回中原中也賞の贈呈式は4月29日(木曜日・祝日)に山口市で行い、あわせて萩原朔美氏(多摩美術大学名誉教授、前橋文学館館長)による記念講演を開催いたします。
受賞作品
『水際』(七月堂)
受賞者
小島日和(こじまひより)
受賞のコメント
このたびは、第26回中原中也賞にお選びいただき、ありがとうございます。
まず、選考委員の方々に読んでいただけたことが、うれしいです。
この『水際』は、おととしの春に詩を書きはじめてから、およそ1年間に書いたものをまとめた詩集です。
ですから、これから先、ずっと長い時間のなかで、なにを、どう書いていくのか、わたしにもわかりません。ただ、少しでもいいものを探していくために、少しでも長く書きつづけられたら、と思います。
最後に、詩を書きはじめるきっかけをくださった方、いつも、詩を書いているわたしのことを見ていてくださる皆様に心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
選考経過
公募、推薦の詩集268点について本年1月に開催された推薦会の検討の結果、青木由弥子『しのばず』、石松佳『針葉樹林』、江夏名枝『あわいつみ』、大島静流『飛石の上』、尾久守侑『悪意Q47』、小島日和『水際』、萩野なつみ『トレモロ』の7冊が選ばれ、本日の選考会の対象とされた。
コロナ禍のなかでも、オンラインではなく、顔を合わせて議論したい、ということで、選考会は近年になく盛り上がった。
候補作7冊のなかで、最終的に大島静流『飛石の上』、小島日和『水際』の2冊をめぐって、長い討議が行われた。ともに同年齢、インカレポエトリ叢書シリーズの2冊である。どちらも大きな可能性を秘めた詩集だが、まったく言葉の出し方が違っている。
大島静流『飛石の上』は、候補作のなかで唯一、言葉を対象にしており、対象との的確な距離感が心地よい。テンポもよく、アフォリズム的な決断力も優れている。ただし、そのバランスの良さが、ここから先、どこへ抜け出るか。
小島日和『水際』は、のびやかでなめらかな言葉を駆使して、日常の現実の時間を手さぐりで描く。母親、父親、故郷など、作者が捨ててきた分厚い過去の歴史を再現しようとする試み。詩句が成立する背景の物語が大きく、ここにはやわらかな作者の声が明確にある。未知数だが、発展段階の個性が十分発揮されていることから、全員一致で、第26回中原中也賞受賞作品に決定した。
最終選考作品(著者名五十音順)
著者 | 詩集タイトル | 出版社 |
---|---|---|
青木由弥子 | しのばず | 土曜美術社出版販売 |
石松 佳 | 針葉樹林 | 思潮社 |
江夏 名枝 | あわいつみ | 澪標 |
大島 静流 | 飛石の上 | 七月堂 |
尾久 守侑 | 悪意Q47 | 思潮社 |
小島 日和 | 水際 | 七月堂 |
萩野 なつみ | トレモロ | 七月堂 |
選考委員(五十音順)
氏名 | 肩書き |
---|---|
荒川洋治 | 現代詩作家 |
井坂洋子 | 詩人 |
佐々木幹郎 | 詩人 |
高橋源一郎 | 作家 |
蜂飼耳 | 詩人 |
応募状況(一般応募作品257冊)
全国43都道府県より応募がありました。山口県内からは7人(うち山口市内1作品)。
最も応募が多かったのは、東京都の48人でした。
応募者は242人、その内訳は、男性が141人、女性が99人、不明2人でした。
年代別 | 10代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代 | 80代以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
人数 | 4人 | 29人 | 47人 | 36人 | 29人 | 54人 | 39人 | 4人 |
関連書類※ダウンロードします。
報道資料1 [PDFファイル/324KB]
報道資料2 [PDFファイル/194KB]
報道資料3 [PDFファイル/120KB]
報道資料4 [PDFファイル/80KB]
報道資料5 [PDFファイル/210KB]
報道資料6 [PDFファイル/147KB]
中原中也についての関連リンク
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)
このページに関するお問い合わせ先
このページを見ている人はこんなページも見ています

〒753-8650 山口市亀山町2番1号 083-922-4111 組織別電話番号一覧
開庁時間:月曜~金曜日の8時30分から17時15分まで (土曜・日曜日、祝日、年末年始は閉庁)
Copyright © Yamaguchi City. All Rights Reserved.
PUBLICATION
作品詳細
インカレポエトリ叢書 1
水際
小島日和
「薬指をおかえしに上がりました、女は下げていた巾着袋を差し出した。」
エスカレーター
底のない穴のなかを
エスカレーターが動いている
上っているのか 下りているのか
とにかく、逆向きに乗ってしまい
遠い国のデパートのように
段差がなく平らになっているので
ベルトコンベアで運ばれているようでもあり
ほうれん草の束が滑り下りてきて
そちらが上かと知るのだが
反対側からも転がってくる鶏肉を
腕に抱えこもうとするなら降りねばならない
どこかからやってきた子どもが
扉の前に座りこみ
一本ずつ指をしゃぶっている
かれは得意になって
私よりずっと
とおくへはなす
ポケットから取り出した 抜け殻も
壊れて落ちていくままにはしない
手の平に残ったかけらまで
すっかり なめ終えてしまい
よくまわる舌から
ほつれた糸が引きだされていく
しわが寄り ひだが生まれ
とおくは ちかくへ絞られていく
踊り場から坪庭を見下ろす
排出される空気に巻かれながら洗濯物が落下していく
忘れ物をたしかめているとき、
わたしの背後では断層が広がっている
いつまでも搬出口が見つからない
喉の奥にはりついて離れない
灰汁をかき消すように
いきおいよく注いだ牛乳で飲みくだす
あぶら
スクリーンの上で燃えているのを見ていた。私は席を立ち、草原の一本道を帰っていっ
た。家では母が食事の片付けをしている。尽くされた食卓、ほどこされた胃袋、風通しの
よい窓ぎわに吊り下げられ、タイヤのように黒く固まる。
ごま油を買いに行くために、お隣から自転車を借りた話をする、染みのついたテーブルク
ロスを剝がそうとする、まだかえなくていいと言う、代わりに、弟のセーターを脱がしに
かかる、ささくれを撫でつけるふりをしながら、籐の椅子に座らせる、インターフォンか
ら分裂する声を、編まれることのなくなった、毛髪のなかに押しこんでしまう、私は
弟と同じ格好で絡まっている
外から焦げついた匂いがする
道に張り出して
全身で振る舞っている母は
体毛の一本ずつまで着膨れていく
むかし
弟が生まれたときにやってきた車を
もう誰も待ってはいない
私たちは家にあるものを偏りなく分けあっている
釜の底に残された ねじれた鍵だけでも
密かに舌へ饗することを
女たちは期待している
腹のなかで燃え尽きて取り戻せなくなること
口を開かなくなる
立ちつくす
なにも持たないで
頼んでいない
料理の皿が運ばれてくる
知らないうちに
うつるのをおそれ
覆った膜から濡らしはじめる
インカレポエトリ特設ページ
詩集
2020/07/01発行
四六判 並製
このサイトについて | 個人情報の取り扱い | 特定商取引法に基づく表記・古物営業法に基づく表記 | 会社概要
© Copyright Shichigatsudo Co., Ltd.
INCOLLEPOETRY
インカレポエトリ
インカレポエトリとは
「インカレポエトリ」は大学で詩の授業を受講している学生たち(およびその卒業生)に発表の場を提供するものです。3号までの参加大学は愛知淑徳、関東学院、京都芸術、慶應義塾、國學院、埼玉、都留文科、名古屋芸術、フェリス女学院、文教、立教、立正、早稲田。次号からは他に東京大学、和光大学が参加の予定です。
編集人:朝吹亮二、新井高子、伊藤比呂美、笠井裕之、川口晴美、北川朱実、城戸朱理、小池昌代、小沼純一、管啓次郎、瀬尾育生、永方佑樹、中村純、野村喜和夫、蜂飼耳、樋口良澄による合議で選考、編集しています。
ご連絡、お問い合わせは incollepoetry@gmail.com まで。
Twitter: インカレポエトリ@incollepoetry もご覧いただき、ご感想などお寄せいただければ幸いです。
インカレポエトリ叢書
著者アンケート ― 詩人への30の質問 ―
インカレポエトリ
このサイトについて | 個人情報の取り扱い | 特定商取引法に基づく表記・古物営業法に基づく表記 | 会社概要
© Copyright Shichigatsudo Co., Ltd.
- リンクを取得
- ×
- メール
- 他のアプリ
コメント
コメントを投稿