学校飼育動物とは
学校飼育動物とは、愛玩動物でも家畜でもなく、子どもの教育のため、成長を助けるために園や学校で飼育されている動物を言う (特に感情を見て取れる種類・哺乳類と鳥など) <社団法人日本獣医師会、学校飼育動物委員会> |
●動物を飼うことの意義
動物飼育体験の教育的効果は、以下に示すように多岐にわたります。ですがこれは、感情を見て取れる哺乳類や愛玩鳥などで、しかも特定の動物を「長く飼育して愛着を培ってこそ」得られることです。
動物飼育体験が人に与える効果としては
(1)愛する心の育成をはかる
(2)自分への肯定感・自尊心を養う
(3)生命尊重・責任感を培う
(4)謙虚さを知る
(5)協力する気持ちを養う
(6)人を思いやる心・共感を養う
(7)科学的視点を得る
(8)ハプニングへの対応力を高める
(9)マザリング効果(擬似育児体験)
が考えられます。
子どもたち自身が世話することで、動物たちのことを「かわいい」と思う感情が芽生え、そのかわいい動物が自分を好きになってくれたことで自分に誇りがもて、「どうしたら喜んでくれるだろう?」と考え・観察するようになります。 そして愛情をもって世話をしてきた動物が死んだ時、子どもたちは死と悲しみを理解します。これらの脳と心を揺さぶられる体験をへて、動物の一種である人への理解にもつながっていくのです。
●動物の選び方
学校で行われている飼育には
(1)愛情飼育:動物への愛情を培うために世話をする
(2)理科飼育:理科の授業での観察飼育
(3)家畜飼育:人との生活のかかわりを理解させる
(4)展示飼育:めずらしい動物を見せる
がありますが、理科は別として、死んだら悲しいと思わせるには愛情飼育が大事です。
「学校飼育動物」は、(1)の愛情飼育を基本と考えます。動物の身になって考えながら、子どもたちのそばでていねいに、死ぬまで飼うには、掃除しやすい飼育舎で世話がたいへん過ぎない動物を選ぶ必要があります。
平成15年4月に文部科学省では、教師用手引き「学校における望ましい動物飼育のあり方」を作成し(案作成「日本初等理科教育研究会」、協力「社団法人日本獣医師会」)、全国の国公私立の全幼稚園、小学校、盲・聾・養護学校に配付しています。この冊子の中で飼育法が取り上げられているのは「チャボ・ニワトリ」「ハムスター」「モルモット」「ウサギ」のみです。
また、このHP内「家畜の飼育に取り組むなら」では、(3)の例として、飼い方(ウズラ、ガチョウ、アヒル、ヤギ、ヒツジ)・実践例も参考までに紹介しました。ですが、世話をすることが大変すぎて【責務】になってしまうような飼育は、さけた方がよいでしょう。
いずれの場合にも、信頼できる獣医師の助言と支援を得ることはとても大切です。
●参考文献・監修
このHPでは、学校飼育動物について限られたことしか紹介することはできません。さらにくわしい情報を得るのにかかせない、本・HPをあげておきます。
《子ども向け》
◆本・HP |
『学校で飼う動物 ぎもん・しつもん』(中川美穂子著、熊谷さとし絵、偕成社) |
| 動物の世話をどうすればよいか、飼っている間にかかえる疑問(不安)を、子どもたちの目線でわかりやすく解説しています。 |
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総合的な学習『みんなで育てよう学校飼育動物』(中川美穂子著)少年写真新聞社 |
| 2部構成。 子ども向けにはやさしく、それぞれの動物の特徴と付き合い方、育て方が示してあります。 指導者に向けには、飼育による教育の意義が示してあります。 |
《大人向け》
◆本・HP |
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| マニュアル本の紹介、飼育の問題点など、学校飼育動物についての“今”を知ることができます。 たとえば「全国学校飼育動物を考えるページ」の「獣医師会の支援」では、獣医師会との連携例、学校との関わりについての調査報告などもあります。 |
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| 冊子「学校における望ましい動物飼育のあり方」をPDFでダウンロードすることができます。 |
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| 獣医師会が学校飼育動物についてふれているHPもあります。 |
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『学校・園での動物飼育の成果~心・いのち・脳を育む~』 (全国学校飼育動物研究会 編著) |
| 動物飼育を通じて命を実感させることの大切さを、理論と実践の両面からていねいに解説しています |
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『学校獣医師の活動と診療』(中川美穂子監修、ファームプレス) |
| 獣医師の側から見た学校飼育動物へのかかわりかた、診療の基礎知識についてまとめられています。学校が飼育をためらう原因として、「子どもたちへの衛生問題(ウイルス、細菌、寄生虫など)」「アレルギー不安」がありますが、獣医師ができる支援についてくわしく紹介されています。 |
《監修》
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